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国として初となる「飲酒ガイドライン」の策定に携わった吉本尚・筑波大准教授=本人提供
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 1日あたり男性は40グラム以上、女性は20グラム以上の純アルコール量で生活習慣病のリスクが高まる――。飲酒による心身への影響やリスクなどについて国として初めてまとめた「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」。どう考えればいいのか、策定に携わった筑波大学の吉本尚准教授(総合診療)に聞いた。(聞き手・浅野真)

 ――純アルコール20グラムはビール中瓶1本程度。「これしか飲めないのか」という声も聞こえます。

 アルコールは減らせば減らすほどいい、という報告もあり、20グラムや40グラムは「飲んでよい量」ではありません。そこは誤解しないでください。アルコールの影響は男女差、年齢差、個人差もあるので、あくまでも「目安」です。

 ――「目安」とは。

 2000年に厚生労働省が「健康日本21」という国民の将来的な健康目標の数値を掲げました。このなかで、純アルコールで1日に60グラム以上飲む人を「多量飲酒者」として、その割合の減少を目標にしました。ただ、10年以上たってもなかなか下がらない。その後、目安となる量は少しずつ変化し、今回のガイドラインに至りました。

 ――この目標では「1日20グラム」を「節度ある飲酒」としていました。

 それは「Jカーブ理論」という理由に基づくものでした。日本の研究でも、「少量(20グラム程度)飲む人のほうが、まったく飲まない人より死亡率が少ない」という見解です。しかし、最近は否定的見解も出てきた。むしろ、少量飲酒でも健康リスクがあるという研究結果が増えてきました。

 ――「飲まないのが一番」で…

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